2015/02/08
THE WORLD IS MINE
久々にTHE WORLD IS MINE一気読み。
あとがきの前半がこの物語の締めに本当にふさわしい。
以下引用します。
<blockquote>
<p>愛 平和 正義 夢 努力 感動 共感 エコ 真実 未来 希望 青空 涙 汗 つながり 平等 協力 仲間 ありがとう 友情 サポート 成長 便利 役立つ 限定 先着 最先端 NEW カワイイ キレイ ハッピー ステキ ヘルシー 痩せる 流行 光る 輝く 明日 本当の私 自由 翼 改革 革命 一瞬 永遠 姓名<br />
それから…「世界「などなど
十歳になる娘に「疑え」と教えている言葉です
神さまにつきましては幼少期にその存在を「有り」と植え付けてから今「無いかも」と壊しにかかっています…最低の父親です
</blockquote>
こういう物語です。
二人の爆弾魔とヒグマドンと名付けられた怪獣が暴れまわる物語です。
緻密な背景リアリティを高め、登場人物のセリフによって価値観を振り回しにかかってきます。
過剰に生々しく描かれた登場人物があっけなく死んでいく一方で、希望を見出した人々が絶望の中死んでいきます。
ユートピアを要求する殺人鬼に、人の命に平等に価値はなくユートピアは実現できないと断ずる総理が、それでも目指さなくてはならないと演説するシーンには心が揺さぶられます。
少女が使命感に突き動かされ処女を捧げ泣き帰るシーン、その少女が親友とその子供を殺され心が壊れてしまうシーンでは、自分が刺されているかのような痛みを覚えます。
善良な一般市民からの悪意と息子の悪行によって母親が自殺するシーン、自殺できなかった父親がテレビの前で息子を殺してくれと嘆願するシーン、個人と社会を天秤に載せ人質もろとも犯人を射殺しろと命令した警察官が記者会見の場で自害するシーン、いくらでもおもしろい場面があります。
何度も読みました。
これから先も何度も読むでしょう。
また一度本棚の奥にしまって次に読む時を楽しみにします。